つい、人と比べて劣等感でつらい時は?
今の時代は、バブルのときほど学歴や職業、年収などステイタスで競争をすることは少なくなってきたかもしれません。その代わり、SNSの「いいね」の数や、人とのつながりの数を競う時代になっているようです。
SNSなどで親しい友人などの活躍や楽しそうな姿を見ては、自分と比較してしまい、劣等感を感じてしまうという人は少なくはありません。
あの人に比べ自分はなんてなんてダメなんだという「落ち込み」。
あの人のほうがなぜ自分より評価されるんだという「怒り」。
このような状態は、他人の評価や承認によって自分の価値を決める他人軸にあるといえます。他人や外部に振り回され続けると、自分自身が何を求めているのか、何を幸せと感じるのかわからなくなってしまうことも・・・・・・。
今回は他人と比べて劣等感を感じた時の対処法として、他人軸をやめて自分軸で生きることについてお伝えします。
劣等感は心身を傷つける
一般的にネガティブな感情はストレスのもとになるいわれています。それでは、ネガティブな感情を感じているとき、私たちの身体の中では何が起こっているのでしょうか?
嫉妬心や劣等感を感じているときの脳の活動を調べると、扁桃体という部分が活発になります。
その結果コルチゾールなど「ストレスホルモン」と呼ばれる物質が分泌されます。
ストレスを受けるとコルチゾールの分泌が過剰になるのは、ストレスから身を守るためですが、ストレスが多い日々を過ごすと、コルチゾールの分泌のバランスが崩れ、不眠症やうつ病、糖尿病などの生活習慣病につながる場合があるといわれています。
このように劣等感などのネガティブな感情は私たちの心や身体を蝕みます。では優越感はどうでしょうか?
優越感も不安のもとになる
他人よりも優れているという優越感は劣等感を持つことよりもましなことと思われるかもしれません。しかし、優越感も劣等感と同じように、ストレスのもととなります。
自分のほうがあの人より優位だと考えると、そのときは満足で幸せを感じるかもしれませんが、心からの安心を得ることはできません。常に誰かと比較しながら、敵がいないかを意識しながらの生活では心が休まる余裕もない状態といえます。優越感という満足は絶え間ない不安と背中合わせです。
優越感も劣等感も、他人との比較や他人からの承認によって自分の価値を決めることで生じる感情です。優越感や劣等感という感情は生きていれば自然に湧いてくるものです。しかしこのことで「自分には価値がある/価値がない」と考えるのは、他人軸な生き方といえます。
他人軸・自分軸とは?
他人軸とは、他人や社会の価値観を基準に、自分自身の価値や行動を選択することを言います。
例えば、
・他人の顔色を伺い、自分の考えではなく相手の意に沿うような発言や振る舞いをする
・本当はチャレンジしたい事があるのに、年齢や周りの目を気にして諦める
・自分の考えや価値観よりも、社会な他人の価値観の方が重要と考える
すなわち、自分らしさよりも他人や社会が好ましいと思う在り方に自分をあわせていくという生き方です。
一方、自分軸とは、他人や社会の価値観よりも、自分がどうありたいのか、自分が好ましいと思うことを大切にし、自分の価値観に従って行動することを言います。
人間関係や状況に応じて、他人やその場の雰囲気に合わせるということはあると思います。
しかし、自分はどうしたいのか、何を大切と思っているのかを振り返ること無く、他人や社会の価値観に自分をあわせ続けることは、自分自身を見失うことに繋がりかねません。
他人軸をやめて自分軸で生きる方法
自分軸で生きるとは、「自分はどうありたいか」「どういう生き方をしたいのか」という問いに対して、自分自身の中から湧き出てくる答えに沿って生きる生き方といえます。
しかし、私たちは人との関わりの中で生きています。様々な人間関係の中で自分軸を保ち生きていくにはどうしたらよいのでしょうか?
自分軸は大切ですが、自分軸は、他人を尊重しないような自分勝手な振る舞いとは異なります。
自分中心とは違う!?自分軸で生きる上で重要なこと
自分軸は大切ですが、「自分軸」といわゆる「自己中」自分中心とは何が違うのでしょうか?
「自分中心」の方は、他人を尊重せず「自分軸」で相手をコントロールしようとして、自分以外の「自分軸」を認めません。
自分軸を持つ上で大切なことは、
①相手に自分の「自分軸」を強要しない
②行動のモチベーションを振り返る ことです。
「他人軸」「自分軸」どちらに必ず正解があるということではなく、「他人軸」になることなく、かといって「自分軸」を主張することなく、”お互いの軸を尊重し合える関係性の生き方をめざす”ことが大切です。
ありのままの自分でいいのかしら?
数年前、「ありの〜ままで〜♪」というフレーズとともに映画『アナと雪の女王』が流行りました。
しかし「ありのままの姿見せるのよ」と社会生活において解放することで自己のバランス、周囲とのバランスをかえって保てなくなることもあります。
例えば、言いたいことを我慢してきたと思う人が、何でも思ったことを伝えて、やはり言ってはいけないことを言ってしまう場合は、”「思ったことを言う人」にはならない方がいい”ということになります。
自分が、思ったことを言っても大丈夫な人かどうか、自分を振り返りながら、自己成長させてからチャレンジする方がいいでしょう。
どんなモチベーションが「自分軸」なの?
では、具体的に自分軸で生きていくには、どうしたらよいのでしょうか?
例えば同じ仕事をしていても、その人がどういう考えや在り方で仕事に取り組んでいるのか?自分軸か他人軸かは、元々のモチベーションの違いにあります。
▽「他人軸」のモチベーションの例
・他者から評価されたい
・人よりも上に行きたい
・他者から怒られたくない
・恥をかきたくない
・自分が我慢すればいい
・社会が求める生き方
▽「自分軸」のモチベーションの例
・自分がかかげた目標の達成
・昨日の自分よりも成長したい
・誰かとの約束を守りたい
・使命だと感じること
・やること自体が楽しい
・自分らしく生きる
最後の「誰かの役に立ちたい」は一見、他人軸に見えますが、役に立つことが主目的なので評価されなくても、誰もみていなくても満足を感じることが、他人軸との違いです。
何かをやろうとする時の自分のモチベーションがどこにあるのかをあらためて考えることは、自分軸を決定するときのカギになります。
おわりに
他人と比較することをやめて、自分軸で生きる方法についてお伝えしました。自分軸で生きるからといって何かを急に変えるわけではありません。
まずは日常生活において、「自分は何を動機で行動しているのか?自分もきちんと幸せを感じることができているのか?自己犠牲はないか?」と自分の気持ちを解放しながら振り返ります。
もし、他人からの評価や、自分の気持ちを抑え無理に適応しようとしていると感じたら、「本当はどうしたいのか。どのような状態が心地よいのか。」を素直に自分に問いかけることが、現実的で自然な自分軸で生きるための第一歩です。
ぜひ、あなた自身が幸せを感じることができる自分軸をもってくださいね。